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キャリタス看護アカデミー
連載企画 03
更新日:2017年10月11日(水)
医療・病院のトレンドを知る
超高齢社会
大手病院が果たすべき
役割とは

超高齢社会で直面する3つの問題

「2025年問題」をご存じでしょうか。団塊の世代が2025年に75歳以上の後期高齢者となる社会を迎えることです。2025年は、5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入します。

なぜ後期高齢者になることが“問題”なのでしょうか。それは75歳を境に要介護者が急増するからです。例えば2012年の要介護認定者の割合を見ると、75歳以上の後期高齢者が88.1%も占めています。75歳までは比較的元気な方が多いのですが、75歳を過ぎると介護が必要となる人が急激に増えるのです。

このことは日本が3つの問題に直面することを意味します。1つは財源です。介護保険が始まった2000年、介護費用は3兆2,400億円でした。2012年には8兆1,200億円に達し、2025年の介護費用は21兆円になると試算されています。この予算をどうねん出するかを考える必要があります。

2つ目が人材不足です。厚生労働省によれば、2025年に必要な介護職員は253万人。ところが供給できるのは215万人で、38万人も不足すると試算されています。また、介護職員の充足率を見てみると、2017年が94.0%、2020年は91.1%で、2025年は85.1%と右肩下がりになっているのがわかります。

3つ目が病床数の不足です。2013年の病床数は134万床ですが、2025年に必要になるとされる病床数は152万床で、圧倒的に足りません。とくに、慢性期・回復期の病床数が不足するといわれています。

容易ではない「病院から在宅へ」

このような状況を乗り越えるべく、国は「病院から在宅へ」という政策を進めています。2025年の病床数を急性期を中心に約120万床にまで減らす方針を掲げ、重症な人は病院、比較的軽い人は在宅で療養してもらい、住み慣れた地域で、医師、看護師、ヘルパーなど多職種で支えていく「地域包括ケアシステム」を推し進めています。

しかし、厚労省のデータによると、2014年の訪問診療を実施している医療機関は、診療所で22.4%、病院でも31.7%です。2005年と比べると、診療所で3.5%、病院に至っては0.1%増加しているにすぎません。その原因の1つと考えられるのが医師の負担増。2009年の「在宅医療の提供と連携に関する実態調査」によると、70%超の医師が24時間体制を負担に感じていると回答しています。

また定期訪問などを行う「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の2016年12月末時点の指定事業所数は953か所にとどまっており、介護職員の不足の影響が見てとれます。

 

人がいなくても見守れるしくみを構築

在宅医療を進めようにも、医師にかかる負担が重く、介護職員も不足している──。どうすればこの状況を打破できるのでしょうか。

興味深い取り組みがあります。佐賀県の織田病院は、地域完結型の実証実験を始めています。地域に拠点となる「メディカル・ベースキャンプ」を設け、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、訪問看護師など多職種による訪問サービスを実施。利用者にタブレットとスマートウォッチを配布し、テレビ電話などで状況を把握、さらにスマートウォッチで心拍数などが常に計測されるしくみです。在宅を「病床」、地域を「病棟」に見立てたのがこれまでと大きく異なる点で、ITを駆使し、少ない労力でこれまでと変わらないレベルの医療の提供を目指しています。

また、奈良県立医科大学でも、各家庭にセンサーをつけ、温度、湿度、照度などの環境データ、さらに循環器、呼吸器など身体のデータを収集。それを大学とネットワークで結び、問題があったらかけつけるという見守りのしくみを構築しようとしています。

人がいないなら、人がいなくても見守れるしくみをつくればいい──。

超高齢社会で大手病院が果たすべき役割のヒントの1つが、透けて見えてきます。

超高齢社会で抱える3つの問題

  • ①財源が足りない
  • ②介護職員が足りない
  • ③ベッドが足りない