看護系就職情報サイト 掲載病院数NO1

ビッグホスピタル特集

聖マリアンナ医科大学病院


左から洞ヶ瀬氏、斉藤氏、本舘副院長・看護部長、東山氏、藤本氏

患者さんの生き方、意思決定を尊重して支える。
それが聖マリアンナの看護です。

Top Interview

  • 本舘 教子

    副院長・看護部長
    本舘 教子(もとだて・のりこ)

    信州大学医療技術短期大学卒業。財団法人三友堂病院、三友堂病院看護専門学校、聖マリアンナ医科大学病院勤務。2014年副院長・看護部長に就任

  • 斉藤 由実子

    師長
    斉藤 由実子(さいとう・ゆみこ)

    1993年聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業、聖マリアンナ医科大学病院入職。救命救急センター、外来、腫瘍センター勤務を経て2017年より腎臓病センター師長。11年に日本移植学会認定レシピエント移植コーディネーター資格取得

  • 東山 恵

    主任
    東山 恵(ひがしやま・めぐみ)

    1991年横浜市医師会保土谷看護専門学校卒業、聖マリアンナ医科大学病院入職。腎センター、画像診断センター、内科外来、腎相談員、糖尿病性腎症外来担当。2011年より腎臓病センターで腎相談員を務める

  • 洞ヶ瀬 万梨

    主任
    洞ヶ瀬 万梨(どうがせ・まり)

    2005年聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業、聖マリアンナ医科大学病院入職。腎臓病センターに配属され、11年より腎相談員を務める

  • 藤本 泰博

    主任
    藤本 泰博(ふじもと・やすひろ)

    2006年聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業、聖マリアンナ医科大学病院入職。腎臓病センターに配属され、11年より院内レシピエントコーディネーターを務める

聖マリアンナ医科大学病院の看護が特に重視するのは、セルフケア支援です。専門職としての知識と技術をフルに用いながら、患者さん一人ひとりの「その人らしい」生き方を支える看護をめざしています。同院腎臓病センターの看護師たちに、その実践の日々を語っていただきました。

その人らしい生き方を実現するためのお手伝いも大切なセルフケア支援

本舘 当院看護部の理念は、「命の尊厳」を中心に据え、「ケア」=療養上のお世話と、「キュア」=診療の補助業務、そして「コア」=セルフケア支援の3つのアプローチから、患者さんの回復の促進を図ることです。ここでいう「回復」とは、治癒だけでなく、急性期からの離脱や、時にはより良い最期を迎えていただくためのプロセスも含んでいます。
 3つのアプローチの中で、当院看護部らしいのがセルフケア支援でしょう。私たちのセルフケア支援は、慢性疾患の患者さんがご自身で体調をコントロールしながら生活できるようにサポートするといったことにとどまりません。たとえば、急性期や終末期でも、患者さん自身の選択や意思決定があり、その人らしい生活や生き方があるはず。それを実現するためのお手伝いも大切なセルフケア支援だと考えています。
 今日は、当院の看護師の代表として腎臓病センターで働く皆さんに集まってもらい、当院で実践されているセルフケア支援について話をしていただきましょう。

患者さんの懐にすっと入り話しやすい空気をつくってから治療の説明や生活の指導を

斉藤 腎臓病センターで師長を務めています。当センターでは、腎疾患の発症から末期腎不全までのすべての段階で、一人ひとりの患者さんに最適な医療を提供するために、関連する部門の医師や看護師、臨床工学技士が連携し、腎疾患の総合的管理・治療を行っています。
 その中で患者さんのセルフケア支援を行うのが看護師で、私自身は、レシピエントコーディネーターとして腎移植を選択された患者さんにかかわっています。
東山 私は外来で、腎相談員として、検査や治療、日常生活の送り方について、患者さんやご家族の相談に応じたり、不安を抱かれている点に対し説明するなどの役割を担っています。
本舘 患者さんやご家族と接する際、心がけていることはありますか。
東山 慢性腎不全の患者さんは一生、治療を継続していかなければなりません。そこで、進行を少しでも遅らせられるよう、ご自身の体調管理の必要性をきちんと理解していただくとともに、節制した生活を今だけでなく、長く無理なくつづけられるよう、いっしょに考えるようにしています。
洞ヶ瀬 私は入職以来、腎臓病センター勤務で、腎相談にたずさわって8年目です。
 腎機能が衰えてきた患者さんの療法選択支援の相談では、特に初回、患者さんはとても緊張されています。東山さんは、そうした患者さんに対して、すっと懐に入り、話しやすい空気をつくられており、見習いたいと思っています。
斉藤 療法選択支援とは、血液透析、腹膜透析、腎移植といった腎代替療法のいずれを選択するか、患者さん自身の意思決定をサポートする業務ですね。
洞ヶ瀬 はい。医師から「今後の治療の方向性を考えたいので透析の説明を受けてください」と言われた患者さんが腎相談外来にいらっしゃいます。
 どうしても透析は避けたいと必死に訴える患者さんには、療法の説明にも増して気持ちのケアが大事です。
東山 洞ヶ瀬さんは、年単位で長く継続的に支援している患者さんも複数担当していますね。患者さんから「話を聞いてもらいたい」と頼りにされる存在なのでしょう。

後進に伝えていくために一つひとつの症例を自分の経験だけで終わらせない

本舘 お二人の話をうかがいながら、セルフケア支援の要諦はなんだろうと考えていました。
 まずは患者さんの存在全体を受け入れ、がんばっている部分をきちんと認める。そして患者さんの生活に対し深い関心を持って話を聞く。そのうえで専門職としての知識や技術をフルに用いながら今後についてともに考えていく。あくまでも患者さんの選択や意思決定を尊重し指導や支援をつづける、といったことでしょうか。
 セルフケア支援の実践では、看護師各々の性格や資質を反映した「その人らしさ」も大切ですが、人材育成にたずさわる者としては、セルフケア支援をできる限り言語化、概念化して後進に伝え、未来につなげていきたいと考えています。
斉藤 それには、一つひとつの症例を自分の経験だけで終わらせないことが重要でしょう。
 腎相談員の看護師たちは担当外のスタッフに相談し、お互いに学び合いながらのセルフケア支援を行っています。
藤本 私は病棟で、腎移植が決まった患者さんを受け持っていますが、腎相談員の看護師は我々が参加する全体ミーティングでも症例説明をしてくれています。
 患者さんの思いの部分にまで言及されるので、腎移植を進めるうえで非常に役立っています。

腎移植を受ける患者さんの支援は手術前から始まり手術が終わってもつづく

本舘 腎相談員の看護師は、主に療法選択以前の保存期や療法選択時に患者さんを支援し、その後の症例によっては、斉藤さんや藤本さんのようなレシピエントコーディネーターの出番となるわけですね。
藤本 腎相談と腎移植は別チームのように見えますが、前述したように、腎臓病センター内の看護師たちの連携は密です。そうした連携にもとづき、移植に関する多職種間の調整を行うのがレシピエントコーディネーターの大切な務めです。
 一方、患者さんについては、腎臓病センター内での申し送りの情報を参照するだけでなく、外来でご本人と接する機会を持つようにしています。入院前に少しでも言葉を交わしていれば、大きな不安を抱えた患者さんとの間に信頼関係を築く助けになると思うのです。
斉藤 移植医療は治療の始まりでも終わりでもありません。手術以前に長い病気の期間があり、手術後も外来での検査や治療はつづきますし、再び透析に戻る例は稀ではないのです。
 短期間で移植腎が機能しなくなるケースもあります。日本での腎移植は大半が生体腎移植。親子間、夫婦間など家族がドナーとなる場合が多いので、移植腎が機能しないと、患者さんだけでなくドナーとなったご家族も辛い思いをします。したがって、ご家族皆さんのメンタルを支えていくことも私たちの大事な役割です。
本舘 腎臓病センターの看護師たちは、まさに患者さんとご家族の一生、生きる過程における重要なターニングポイントにかかわっているのですね。

経験を積んだ看護師たちが実践し、語り伝えていく聖マリアンナの看護

本舘 最後に学生や新人など後輩の皆さんに伝えたいことをお話しください。
東山 理想と現実、教科書と生身の患者さんは違います。
 そして、患者さんの可能性やゴールを勝手に決めてはいけません。たとえば、タンパク質や塩分の制限が必要な患者さんに、普段の食生活を知らないまま教科書にある理想の数字や献立を伝えても受け取り方は患者さんによってさまざまです。好物でもないものを控えるのと、大好きな食べ物をダメと言われるのとでは、気持ちの負担は大きく違うでしょう。
洞ヶ瀬 「患者さんの可能性」を考慮する一例が、「患者さんも家族も高齢だから在宅での腹膜透析は無理」と決めつけたりしないこと。ご本人たちが望むなら、訪問看護師のサポートを得る、安全なケアのための工夫を考える、病状悪化時にいつでも入院できる体制を整えるなど、できる限りの方法を探すべきです。
 物事の限界を決めつけず、看護側の可能性をも広げていくのが、セルフケア支援だと思います。
藤本 腎移植や腎臓病センターに限らず、看護師の仕事には心理的な面も含めて辛いシーンがあります。けれどもその分、患者さんの人生に深くかかわれるという意味でやり甲斐も大きいと感じています。
斉藤 ひとりの患者さんから得た学びを次の患者さんでの看護に生かすなど、いくらでも自分を成長させられる点も看護師の魅力。患者さんが「その人らしく生きる」を大事にする看護を追求し、若いスタッフにもそれを伝えていきたいと思います。
本舘 経験を積んだスタッフは、自身の看護をきちんと語れることも大切です。セルフケア支援を重んじる聖マリアンナの看護にとことんこだわり、実践し語り伝えて、未来につなげていってください。