ビッグホスピタル特集 - 慶應義塾大学病院

ビッグホスピタル特集


けいおうぎじゅくだいがくびょういん

慶應義塾大学病院

次の100年を視野に、新しい医療と切れ目のない看護を創っていきます。 次の100年を視野に、新しい医療と切れ目のない看護を創っていきます。

看護部長

加藤 恵里子

かとう えりこ

全国の私立医科大学病院でも慶應義塾大学病院の看護師の経験年数はトップレベル。それは、先進医療を実践しつつ、看護師がキャリア形成できる環境と働きやすさを兼ね備えた病院でもある一つの証ともいえます。これからの医療を創り支えていく存在として、新人看護師が学ぶ意欲を持って一緒に成長していけるよう、教育体制も整えています。

高度医療の中で自ら考え行動するチームの要として

慶應義塾大学病院_外観

 当院は2018年に新病院棟が開院し、2022年5月にグランドオープンいたしました。
患者さんに優しく、教職員にとって働きやすい環境が整いました。2020年には病院開院100年を迎え、次の100年に向けて、現在歩み始めております。
 当院には、大学病院として、また臨床研究中核拠点病院、がんゲノム医療中核拠点病院として、未来の医療を創っていくという使命があります。私たち看護師も、次の100年に向けて力を発揮していきます。その思いは「私たちは、『患者を尊重し、患者のQOLを高める看護実践』を通して、大学病院の社会的役割遂行に協働します」という看護部の理念にも込められています。
 私たちは、高度急性期医療の中で、チームで切れ目のない看護を提供することを第一に、自ら考え行動できる看護師を育成いたします。そのためには、お互いの看護観を認め共に成長できる環境を築くことをめざしています。一人ひとりが何を大切にしているのか、チームの中でお互いを認め合い、患者さんにとって何がベストかを一緒に考え、看護師としてお互いに成長できればと考えています。
 現在、医療は大変厳しい状況にあります。未曽有の状況下で、私たちはこれまでの経験から多くのことを学びました。看護スタッフたちの使命感は大変高く、患者さんたちに向き合い続けております。一方で、負担や不安、不満に感じていることもあると思います。スタッフたちの気持ちをしっかりと聞き取りつつ、この経験を生かし持続可能性を有した看護提供体制を構築し、特定機能病院として「心の通った」看護を提供し続けていきます。

自律したジェネラリストを育てる
一人ひとりの習熟度や経験に応じた教育プログラム

 教育理念としては、「自律したジェネラリスト・ナースの育成」を掲げています。高い倫理観を持ち、患者さんのニーズを捉え看護する力を高めていくことが、とても重要だと考えています。
 新人指導体制は、OJTに重きを置き、現場で学べる仕組みづくりを行ってきました。プリセプターシップはもちろんのこと、主任・副主任とは別に臨床指導ナースを各病棟に1名配置し、新人看護師が誰に声をかけたらいいのかが分かりやすく、層の厚い指導体制を準備しています。
 当院は1996年から、独自のキャリアラダーを開発し、早期からキャリア開発に取り組んできました。成長を階段状ではなく、膨らみのイメージで捉える慶應看護独自の「発達モデル」の最大の特徴は、一人ひとりの経験や習熟度に応じて学べる点です。年次によって教育プログラムが決められているのではなく、発達レベルに応じて様々な研修プログラムが用意されています。
 レベルⅢ以上になると進学休職制度を利用し、専門看護師や認定看護師を目指すこともできます。ジェネラリストの基盤をつくってから専門性を身につけることで、チームや組織の中でより力を発揮できるようになると考えています。

自分の潜在能力を信じて前向きに粘り強く一緒に育つことができる環境

My Favorite Item
My Favorite 娘が作ってくれた粘土細工は、戴帽式の写真、東京マラソンのメダルとともに、お守りのような存在です。

 私は、2人の子育てをしながら、ここで看護師のキャリアを積んできました。その過程で大切にしてきたのは、「やれること」と「やりたいこと」、「やるべきこと」のバランスを保つこと。なんでも自分で抱え込まずに、人に頼める時はお願いし、何かに集中すべき時にはとことん取り組んできました。また、「向き不向きよりも前向き」ということも、モットーにしています。若い看護師のみなさんにも伝えていますが、「向いていないのでは」と悩む前に、とにかくもう少しやってみることが大事ではと思います。看護は、継続的な粘り強い関わりによって意味がみえて次につながります。自分では気づかない潜在能力が必ずあるはずです。それが開花していく経験をしながら、自分のキャリアを選び取っていってほしいと願います。
 現在、働き方改革を進めつつも、一方で、入院患者さんの高齢化、疾患の複雑化、在院日数の短縮等により、看護師の繁忙度は高いままです。ITCを活用した業務負担軽減等にとりくみつつ魅力ある職場づくりのために、スタッフからの提案を取り入れたカイゼン活動を進めています。また、教育体制は皆さんの状況に合わせて変更していきます。最前線で最新の医療を経験できる場で、自分の看護実践力を高めたいという方にはぜひチャレンジしていただきたいと思います。患者中心の看護を提供することを通じて一緒に成長しましょう。

プロフィール
PROFILE PROFILE

加藤 恵里子

かとう えりこ

慶應義塾大学病院

看護部長・認定看護管理者

1988年 慶應義塾大学医学部付属厚生女子学院卒業、1997年 東洋大学文学部教育学科卒業、2018年より慶應義塾大学病院看護部長・認定看護管理者、2023年3月昭和女子大学大学院修士課程修了

HOSPITAL INFO
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