ビッグホスピタル特集 - 東京女子医科大学病院

ビッグホスピタル特集


とうきょうじょしいかだいがくびょういん

東京女子医科大学病院

高度医療を受ける患者さんの看護の土台となる人間性を磨き続ける 高度医療を受ける患者さんの看護の土台となる人間性を磨き続ける

看護部長

近藤 芳子

こんどう よしこ

高度な医療を受ける患者さんの看護をするためには、多くの専門的な知識、技術を身につける必要があります。と同時に、心のこもった手厚い看護が基本です。看護の土台となる人間性を重視し、患者さんをより理解していくために、地域との連携も大切にしています。

高度先進医療を受ける患者さんが本当に必要とする看護を

 本学の理念は「至誠と愛」です。つまり、この上なく誠実な心とまごころです。東京女子医科大学病院では、この建学の精神にのっとり、「患者視点に立って、安全・安心な医療の実践と高度・先進な医療を提供する」ことを理念としています。高度な医療を受ける患者さんの看護をするためには、たくさんの専門知識、技術を身につけていく必要があります。しかし看護師である前に、人として成熟すること、相手への優しさや配慮が大切であると、私たちは考えています。
 看護部では、次のような方針を立てて看護を行っています。「患者に安全、安心、安楽な看護を提供します」「高度先進医療を受ける患者にふさわしい看護を提供します」「日々業務を見直し改善に心がけます」「温かく、心から頼られる看護師になるために日々研鑽に努めます」「他部門と協働して目的を達成します」の5つです。
 特に4つ目は、他の実践の基盤になるものです。看護師の振る舞い一つで患者さんは安心したり、逆に不安になったりもします。全人的看護を提供するために、「目配り」「気配り」「心配り」そして「思いやり」を常にもって働ける環境を整え、「やさしい」看護師を育成していきたいと考えています。

看護の土台となる人間性を育てることを重視した教育体制

 高度先進医療を提供する大学病院として、看護師が知識や技術を身につける教育体制は整っています。看護師の生涯の成長を見据えた研修制度の整備はもちろん、新人看護師にはプリセプター制度のなかで1ヶ月間はシャドウイングを実施。それ以降はチーム全体でフォローしながら教育します。クリニカルコーチもおり、主任や師長とともに三位一体で部署の教育を考え、育てています。
 そのすべての過程において、人間性を育てていくことを重視しています。人間性の高い人とは、すべての人に対して平等に接することができ、感情をコントロールし穏やかで落ち着いていて、些細なことにも感謝でき、責任をもった行動の取れる人だと考えています。そして、何より聞き上手です。
 そうなるための一歩として、まずは次のことを心がけましょうと、新人看護師はもちろん、すべての看護師に常に言っています。それは、ルールを守りマナーを身につけること、時間にゆとりを持つこと、笑顔を心がけることです。特に、時間にゆとりを持つことは大切で、ギリギリに走っていくのではなく、呼吸を整えて自分にできることを考える時間が、自分を大きく成長させてくれます。どれも当たり前のことですが、なかなかできることではありません。だからこそとても重要で、身につけていく価値のあるものだと捉えています。

患者さんをより理解し成長するために、地域の視点を大切に

 こんなことを言っている私も、そもそも初めは生活のために看護師の道を選んだ一人です。博愛の精神なんて考える余裕もなく、看護学校に通いながら仕事をしていました。産休以外はずっと、約50年間働いていますが、振り返って思うのは、やはり患者さんに教えていただき、育てていただいたということです。当院に就職して間もない20代の頃のこと、放射線科病棟で、ある患者さんに「あなたにこの気持ちが分かるか」と問われました。思い切って「分からないので教えてください。誰のことが一番心配ですか?」とお聞きすると、家族のこと、仕事のこと、私が気づかなかったさまざまなことを話してくださいました。謙虚な姿勢で一緒に考えていくことの大切さを多くの患者さんから教わったと思っています。
 迷ったら、まずは患者さんのそばに行って考えてと言い続けてきました。答えは患者さん自身が持っていますから。とはいえ、在院日数の短縮で、一緒にじっくり考えることが非常に難しくなっている昨今です。だからこそ、患者さんを生活者として見る視点、つまり、退院前と後の生活が続いていることを理解していく必要があります。病院の看護師も、地域にどんどん出ていく時代がやってきています。当院看護部でも、地域の訪問看護ステーションと協力して、出向などの体制を整えていきたいと考えています。

看護という希望に満ちた仕事の楽しさを知ってほしい

My Favorite Item
My Favorite 最近の趣味は塗り絵。色鉛筆を手に、無心になれるひと時です。休日に時間を区切って没頭しています。

 当院は、大学病院として診療科も非常に多岐にわたりますし、部署も多数あります。そのような環境で、自分の実践したい看護を実現できるよう、院内インターンシップという制度も整えており、自分に合うのかどうか試してから異動ということも可能です。専門看護師、認定看護師、診療看護師、院内認定のエキスパートナースと看護のスペシャリストが60名以上おり、ほとんどの部署に配属されています。それらの看護師から日々学んでいけることも特徴です。
 看護というのは、本当に快活で希望に満ちた仕事だと感じます。情熱を持って取り組めば、自分も幸せになれる幅広い仕事だということを、これから看護師になるみなさんにもお伝えしたいです。一緒に挑戦しながら磨きあっていけたらと思っています。

プロフィール
PROFILE PROFILE

近藤 芳子

こんどう よしこ

東京女子医科大学病院

看護部長

富山県出身。1970年、国立療養所富山病院にて准看護師資格取得。1981年、国立療養所東名古屋付属看護学校卒。看護師資格取得。同年、東京女子医科大学病院に就職。看護主任、八千代医療センター開設準備室を経て、2005年、同センター救急外来に配属。手術室、ICUなどを経て、2010年本院に戻り、緩和ケア科等に配属。2018年に看護副部長、2022年7月より現職。モットーは「明るく前向きに」。義母の介護をきっかけにケアマネジャー資格も取得した。

HOSPITAL INFO
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