注目の認定看護師&専門看護師特集
認定看護師 皮膚・排泄ケア

1990年、川口市民病院に入職し外科に勤務。 1994年、川口市立医療センター開設に伴い同院産科に勤務。その後、整形泌尿器科病棟、外科病棟を経験し、現在は看護部直属の認定看護師として勤務。外科病棟に勤務していたときに皮膚・排泄ケア認定看護師の資格取得にチャレンジし 2009年に取得する。
自分の仕事の効果がはっきり 見えることに魅力を感じる

飯塚さんが認定看護師の資格を取得しようと決意したのは、看護師になって10年ほど経ったころのこと。いろいろな診療科を経験してきた飯塚さんだが、何か一つ自信がもてる専門性を身に付けたかったという。そのころ、皮膚・排泄ケア認定看護師として活躍していた先輩の仕事ぶりや考え方に憧れを抱くようになった。
「先輩の仕事を見て、自分のしたことの効果がはっきりしていることにも魅力を感じました。食べること、排泄することは人間の基本です。その基本の部分で困っていらっしゃる患者さんを助けてあげたいと強く思うようになったのです」
そこで川口市立医療センターの認定看護師育成支援制度(研修費用の病院負担、給与保障)を活用し、2009年に資格を取得。現在の飯塚さんは、午前中に「ストーマ外来」で患者さんのケアを行い、午後には病棟をラウンドする毎日だ。
ストーマ外来では訪問看護師とも連携を取り最善のケアをめざす
「ストーマ外来」は、憧れだった先輩の後を引き継いだ。ストーマ(人工肛門、人工膀胱など)をつけた在宅療養の患者さんの相談やケアにあたる。身体の状態は常に変化するので、ケアの内容もそのつど変えていかなければならない。ケースによっては地域の訪問看護師と連携を取りながら最善のケアをめざす。
病棟のラウンドは医師や栄養士、薬剤師、理学療法士などからなる「褥瘡対策チーム」の一員として行う。病棟から主に書類で依頼があり患者さんを訪問、多い日には12~13人の患者さんを看ることもある。認定看護師として褥瘡予防チームをまとめる役割も担うが、互いの考えを伝え合い、異なる意見を調整していくのは簡単なことではない。その調整がうまくいき、患者さんに寄り添う看護ができたときには、楽しさを感じると、飯塚さんは言う。
決めつけず、思い込まずに自分の目で問題の本質を見抜く
飯塚さんが仕事をするうえで気をつけているのは「決めつけない」ことと「思い込まない」こと。自分の目で見て考えることを常に心がけている。
「いちばん必要なのは、問題の本質を見抜く力だと思います。皮膚・排泄ケアは、診療科を問わずどなたでも必要になる可能性があります。それぞれの患者さんの症状や状態をよく見て、いまできるいちばん良いケアは何かを、患者さんと一緒に考えていく姿勢が求められると思います」
飯塚さんがやりがいを感じるのは、やはり「(治療を受けて)よかった」と患者さんやご家族から声をかけられるときだ。とくに困難な症状で長期にわたりストーマをつけながら頑張っていた患者さんが、ストーマを外したときに「大変だったけど、よかった」と感謝されたときには、「寄り添うことができた」と深い満足感を得たという。
「年に数回しかいらっしゃらない患者さんから『ストーマ外来があるから安心して生きていける』とおっしゃっていただいたこともあります。自分の仕事が患者さんに信頼していただけるのは、この上ない喜びです。認定を取得して本当によかったと思えます」