いまさら聞けない「あの用語」 - TIA

いまさら聞けないあの用語

WORD 03 TIA

TIAとは

TIAは医療現場では「ティア」と呼ばれます。「transient(一過性の)ischemic(虚血性)attack(発作)」の略で、「一過性脳虚血発作」のことです。

一過性脳虚血性発作とは、読んで字のごとく、一時的に脳に血液が流れなくなって、感覚異常などの症状が出るもので、多くは5分前後で症状がなくなり、遅くとも24時間以内には消失するものをいいます。

「症状がすぐになくなるなら放っておけばいいじゃないか」と思われがちですが、TIAが問題視されるのは、脳梗塞の前兆としてよく現れるからです。TIAの10~20%は脳梗塞に移行するといわれているため、TIAが出現したら再発予防に努めることがなによりも重要となります。

原因は大きく2つ

TIAの原因はいくつかあります。一つは、頸動脈や椎骨動脈にある血栓がはがれて頭蓋内の末梢脳血管に流れ、そこで詰まることで閉塞を起こして症状が出現し、やがて血栓が溶けることで症状がなくなるタイプです。

もう一つは、「脳血管不全」と呼ばれるもので、頭蓋内の動脈にあった閉塞や狭窄が、血圧低下などが生じることで一時的に血流が悪くなって起こるタイプで、血圧が元に戻ることで症状もなくなります。

2つのタイプともにいえるのは、最終的には症状が消失することです。しかし、もし血栓がずっと詰まったままだったり、血圧も改善されなかったりした場合、脳内の組織がダメージを受けて障害が元に戻らなくなります。こうなった状態が脳梗塞です。

TIAの症状

TIAの症状は脳梗塞と同じです。めまい、ろれつが回らない、片方の眼の視力障害、片側の手足の麻痺、半身不随などです。5分前後で症状が消えることがほとんどですが、30分~1時間ほど続くケースもあります。

TIAの診断と重症度スコア

検査にはMRI、頸動脈エコーなどが用いられます。

TIAには重症度を判定するABCD2スコア(表)があり、このスコアで3点以上あった場合は入院が推奨されています。高齢であればあるほど、血圧が高ければ高いほど脳梗塞の危険性が高くなり、症状が強いほど、持続時間が長いほど、糖尿病があるなどもリスクとされています。

ABCD2スコア

内容得点
AAge(年齢)1点
BBlood pressure(血圧) 140/90mmHg以下1点
CClinical feature(臨床像)1点(麻痺のない言語障害)
2点(半身麻痺)
DDiabetes(糖尿病)1点
DDuration of symptoms(持続時間)1点(10~59分)
2点(60分以上)

TIAの治療

先に述べたように、TIAで重要なのは再発を防止することです。そのため、TIAの危険因子となっている血圧、糖尿病などを改善する薬や運動療法のほか、抗血小板薬が用いられます。また、心臓でできた血栓が原因と考えられる場合は、抗凝固薬が投与されます。一方、頸動脈の狭窄が強い場合は、狭窄の原因となっている部分を切除する「頸動脈内膜剥離術」という手術が行われることもあります。

更新日:2017年10月23日(月)