ビッグホスピタル特集 - 東京医科歯科大学病院

ビッグホスピタル特集

東京医科歯科大学病院

東京医科歯科大学病院

変化し続ける社会に対応する
「創造性」を大切にしています。

Top Interview

病院長補佐 看護部長
淺香 えみ子(あさか・えみこ)

東京医科歯科大学医学部附属看護学校卒業。看護師3年目から働きながら法政大学の経済学部に通う。その後、東京女子医科大学で看護学修士号、富山大学で医学博士号を修得。獨協医科大学埼玉医療センター、榊原記念病院、日本看護協会での勤務を経験し、手術室、循環器、救命救急センターで実践と管理を行う。その中で、2006年に看護師長、2007年には看護副部長に。2020年より、東京医科歯科大学医学部附属病院病院長補佐・看護部長を務める。救急看護認定看護師、認定看護管理者。

生活の視点を持ち、患者さん中心の先進医療の提供を目指していくためには、看護師も創造性豊かに、自分の持てる力を発揮していくことが重要です。東京医科歯科大学医学部附属病院では、IKASHIKAキャリアパスを軸に、チームの中でリーダーシップを発揮し続けられるジェネラリストを育成していくことを目指しています。

患者さんのために型にはまらない最善の看護を一緒に創っていく一員に

 社会の変化とともに、東京医科歯科大学医学部附属病院の、地域から期待される役割も変化してきました。縦割りではなくもっと柔軟に考え、さまざまな患者さんを一人の生活者として受け止めていく時代になりました。さらに、新型コロナウイルスの影響もあり、その時々に考えて判断することが求められています。
 当病院は、「安全良質な高度・先進医療を提供しつづける、社会に開かれた病院」を掲げています。その理念のもとに、患者さんの生活を中心とした高度先進医療という方向に舵を切っているところです。看護部も現在進行形でそこに向かっています。
 そのような中で、これから育っていく看護師のみなさんには「型にはまらずに、それぞれが自分で考えて看護を創り出していってほしい」と、常々思っています。
 「医療チームの一員として責任を持ち、創造性豊かな思いやりのある看護を実践します」という看護部の理念にもあるように、私たちはこれまでも「創造性」を大事にしてきました。患者さんが安心して生活できるようにするのが看護のゴールですから、そこに向かっていく方法はもっと多様であっていいのではないか、と思うのです。
 新人看護師にとっての創造性とはなんでしょうか。それは、たとえ社会人1年生でも、学校の基礎で学んできたことや、これまでの人生で経験してきたことを、自分の看護に活かしていくことです。
 今の1年目の看護師と話をしていると、私の新人時代にはこんなこと考えられなかったなと思うことがよくあります。自分の考えをこんなにしっかり言葉で表現できるというのは素晴らしいなと。経験は浅くても、その人しか持っていないものがあるので、遠慮せずにできることからどんどんアウトプットしていってほしいと考えます。

「なぜそれを学ぶのか?」根拠を明らかにしながら成長していける環境

 創造性を持ち、時代に即した看護をしていく看護師を育てていくために、当病院の看護部では、文部科学省の人材育成プランとしても採択された「IKASHIKAキャリアパス」を教育の基本としています。
 基礎と臨床の一貫教育という考え方で、連続性を大事にしてきました。「なぜそれを学ぶのか?」その根拠から目的を自ら意識していけるような内容に、さらに進化させているところです。その中で、看護職のさまざまなキャリア形成も支援しながら、個々の成長にあわせて、チームの中でリーダーシップを発揮し続けられるジェネラリストを育成していくことを目指しています。
 看護は人と人の関わりですから、理屈では説明できないことに必ずどこかでぶつかるでしょう。その部分は、OJTとして、現場の師長や先輩が身近なところで経験者として支援します。リフレクションしながら理解し、折り合いをつけて行くことで、新たな気づきが生まれてくる、その実践と振り返りのプロセスを大切にしています。
看護には、患者さんと接していく中で創られるものがたくさんあります。それを経験して看護師は成長していくのだと思います。当病院は急性期病院ですので、患者さんの回復されていくプロセスを間近で見ることができます。回復は患者さんご自身の力でもありますが、看護師にとっては、根拠に基づいた看護を提供した成果が可視化されていく経験とも言えます。そこから、自分が患者さんの変化に寄与できる力を持っているということをぜひ実感してもらいたいと思います。

学びのチャンスを逃さず恐れずにチャレンジしてほしい

 「安心して学ぶことができました」というのは1年目を終えた方からよく聞く言葉です。当病院には、知識を深め、発展させ、先進的な活動に触れられる環境があります。その中で、学ぶ理由を明確に理解しながら一つひとつ丁寧に積み重ね、納得感の中で成長していける場だと思います。
 いろいろな学びのチャンスがあるので、やりたいことがあれば、遠慮せずにぜひ挑戦していただきたいです。その全てが、その後の看護師人生の糧になります。
 振り返ってみると、私も看護師になりたての頃、いろいろなことがありました。看護師になって3年目に、ある患者さんと話していた時、大学進学を強く勧められたのです。素直に「そうか」と思った私は、興味のあった、経済学部に挑戦。夜間コースに3交代勤務をしながら通いました。若かったからできたのですね。
 今、マネジメントをする立場で、効率や成果といったことを考える時に、経済を学んでおいてよかったと思いますし、修士論文や博士論文を書いた時も、社会の情勢、背景を捉える自分のベースになっていると感じました。無駄な経験というのはないのだなとつくづく思います。
 新型コロナウイルスの影響で、医療現場は大変な状況ですが、一方で大変だからこそ、チーム医療がさらに前面に出てくることになりました。看護が医療の中で重要だということも、世界的に再認識されたのではないでしょうか。
 そんな中、これからは、院内だけにとどまらず、日本の医療・看護にとってのリーダーも同時に育てていかなければならないと感じています。当病院にいながらも日本全体を視野に入れた活動もできますし、たとえ全国から集まってきた看護師が地元に戻ったとしても、そこで地域の医療や看護の質を上げていくリーダーになってくれれば、それは東京医科歯科大学の理念である、「知と癒しの匠を創造し、人々の幸福に貢献する」ということだと思うのです。
 学生のみなさんは、今、学ぶのにさまざまな障壁を感じているもしれませんが、未来にはいろいろな道が拓けています。現場での受け入れ体制も整えていますので、安心して看護職を目指していただきたいです。